「なめらかなお金がめぐる社会。あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。」を読んだ

なめらかなお金がめぐる社会。 あるいは、なぜあなたは小さな経済圏で生きるべきなのか、ということ。
- 作者: 家入一真
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2017/08/25
- メディア: Kindle版
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かなり文量は少なく、1日で読めるぐらいの量だった。「小さな経済圏」という考え方がとても面白く感じた。CAMPFIREというサービスを軸に、「こういう生き方もあるんだ」と思わせるエピソードが詰まった本だった。CAMPFIREで何かを始めたくなった。
気に入ったエピソード
僕は会社組織を否定したいわけではなくて、その仕組みによって生きづらさや働きづらさを感じる人にも居場所を作りたかっただけだ。そういう人は結構いるし、言語化していないだけで違和感を持ち続けている人はさらに大勢いる。もっと言えば、そうした現実と想いのギャップについて「それが大人になるってことだよ」というわかったような言葉でお茶を濁そうとする世の中の姿勢を僕は看過できなかった。
なんとなくもやっとしている部分について触れられていた。
こうした若い子たちの価値観の変化に対して大人からは「今の若者は野心がない、草食だ」「根性が足りない」なんて声をあげることもあるけれど、それは少し違うんだろうな、と最近は感じている。たぶん、若い彼らは単に「お金がすべて」だった世界の、その先を見ているのだ。
ここもそうかもしれない。
では会社に依存しない生き方とは何だろうか。これは世間で散々言われていることだけど、やっぱり最初から収入源を限定しないように意識することが大事なんだと思う。つまり企業人も、フリーランス的な収入の得方を心得るということだ。例えば、1社から30万円もらうのではなくて、3社から10万ずつもらうとか、20万円で正社員として働きつつ、5万円くらいの収入源をいくつか持つとか。もしそういう働き方ができれば、「あ、この会社ちょっと違ったな」と思ったら、比較的すぐに「避難」することができる。
会社に依存しない生き方は面白いと感じたし、そうありたいと思った。
バーニングマンはもともとある男性が彼女に振られて、彼を慰めるために友人数人で人形を作って砂漠の真ん中で燃やし、それを囲んでキャンプをしたのがきっかけ。それが徐々に規模を拡大して、今は世界中から7万人くらいの人が集まり、1週間、お祭りと共同生活を楽しんでいる。ちなみにグーグルの創業者も初期の頃から通っていて、具=グルのロゴがたまに変わる例のDoodleも、もともとは創業者の2人が「バーニングマンに参加しているので何もサポートできません」ということを伝えるためにロゴをバーニングマンに変えたことがきっかけだ。
バーニングマンというイベントに関して言及されていた。参加してみたい。
最近見かけないが、一時期僕も使っていた「Klout」というサービスは、各種SNSアカウントをリンクさせると、その人の影響力が「Kloutスコア」と言うかたちで数値化されるサービスだ。例えば、僕の場合はフォロワーが多いので「Kloutスコア」はかなり高めだった。すると何が起きるかというと、(今はどうなっているかわからないけど)海外だとその数値が60以上あると空港にラウンジが無料で使える、といった特典を受けることができるのだ。特典を用意する起業からしてみれば、影響力のある人が自社のラウンジで「○○のラウンジなう」とひとこと呟くだけで、十分な宣伝になるからだ。従来の仕組みでは、空港のラウンジはお金をいっぱい使ってマイレージを貯めないと入れなかった。それがインターネットの世界から算出された「指数」のおかげで、個人の信用力が実経済でお金と同じような価値を持つようになったのだ。
こういうサービスはとても面白いと思う。
最初のうちは会社に勤めながら夜、作業を進めていた。「退路を断つ」という言葉はなんだか美談のように扱われることもあるけど、思考することを放棄した人が最終的にとる手法だと感じる。その決意が周囲の心を動かすことはあるだろうし、僕も感動したりすることはあるけれど、退路を断たずともやれることはいっぱいあって、それを下準備もなしに「明日会社を辞めてこっちに専念します」というのは少し疑問だ。そういう意味で小さく立ち上げることはとても大事だと思っていて、それは今でも変わっていない。いや、昔より今のほうがより重要とすら思う。
これは参考にしたい。とりあえず、今の生活の中で、できることをやっていこうと思った。
お金とか効率性とは関係なくつながることができる場所って今はネットがあるけど、昔は少なくて、宗教はその受け皿になっていたのかもしれないですね。「シェアハウスにいると落ち着く」って感じる人が多いのも、たぶん、そういう理由からだと思うんですよね。
共感できた。
つながりは大事ですよ。CAMPFIREがいいなと思うのは、別に金額がスケールしなくてもそれでつながりができて楽しいっていうのがあることじゃないですかね。お金がコミュニケーションツールになっている感じで。大阪の西成地区で、50円玉を50円で打っているホームレスがいるっていう話、聞いたことがありますか?なんですかそれ?本当に50円玉を50円で打っているんです、路上で。お金の額面の価値だけで考えると意味がわからないことになっちゃうんだけど、売っている本人からすれば50円を売ることでそこにコミュニケーションが生まれるので、その分、プラスだと。
この考え方はとても面白かった。
確かに、社会に貯金している感じはあるかもしれないですね。うわぁ、いい言葉ですね!本当にそのとおりで「起業したいんだけど仲間が集まりません」とか、「何かしたいけど応援していくれる人が見つかりません」って、みんな言うんですよ。でも、よっぽどのカリスマ性があるとか、話がうまいとか、ビジョナリーでもない限り、いきなり自分のやりたいことだけ言って人が集まるわけないんです。だったらまず、同じような活動をしている人の近くでゆるっと手伝ったり、そこに属してみたりとかしながら、少しずつ自分の経済圏を作っていけばいいと思います。
これは刺さった。焦らずやっていきたい。
「5000万円のプロジェクトが入ってくるのはありがたいけど、それよりも5万円のプロジェクトを1000個作りたい。美大生が5万円で古典を出したいとか、地方の若者が10万円でフリーペーパーを作りたいとか、従来の金融のあり方のままでは相手にされないような人たちの受け皿になりたい」と。
この考え方はとても素敵だと思った。
今ではスカイプはあるけれど、大事なミーティングは対面で、というケースが多い。それは2次元の世界では相手の仕草や表情、その場の空気感などが伝わりきらないからだ。でもBRがあればそれを補完できる。ということは社員全員が仮想空間(バーチャルオフィス)で仕事をする会社も生まれてくるだろうし、そうなってくると家賃の高い東京に住む必然性が薄れてくる。遠方の友達と遊びたくなったら、VRでプチ海外良好でもすればいいのだ。
しばらくは難しいけど、こういう世の中になればいいなと思った。わざわざ満員電車に乗る意味はないし、もっと選択肢が増えるといいなと思った。
まとめ
著者の考え方を知ることができ、それが面白いと思えた本だった。すぐに読めるので、ぜひ読んで欲しい。